作家という職業
サラリーマンを経て、僕はたまたま木工作家と呼ばれる仕事、職
業に就いた。職人という言葉には「図面通りのものを正確につく
る」という印象が強く、デザインから起こす我々のような業態だ
とやはり「作家」という方がしっくりくるように思う。慣れるま
ではその呼び方にも抵抗ありましたが…。自由度が高い分、リス
クも大きい。何の保障もない、自己責任の塊のような仕事。憧れ
だけでは絶対にやってゆけない、とてもシビアな世界とも言える。

…なんて書くと、さぞや特別な仕事のように感じるかも知れませ
ん。でも個人的な意見を言わせてもらえば、至って普通な仕事で
す。何を持って普通というかは分かりませんが、「作家」も数多
ある職業の中の一つに過ぎず、何か特別な存在であるという感覚
は全く無い。それぞれの業種業態にそれぞれのヒエラルキーが存
在し、その中でどの位置を目指すか、或はどの位置が自分にとっ
て居心地の良い場所なのか。僕の場合「大所帯」というのが性に
合わなかったように思います。その反動から、最小単位の個人事
業主にたどり着いてしまった訳ですが。「作家」という職業が特
別だとは少しも思わないけれど、自分の居場所を見つけることが
できたのは特別なことだったのかも知れない。でもそれもコツコ
ツやってきた結果、真面目に積み重ねてきた結果。やっぱり特別
なことは何もやってない。続けられたことがすべてなのだと思う。
「作家さんらしい」作家さんに言わせたら、何を甘いことを!と
叱られてしまうかも知れない。実際に「普通じゃないオーラ」を
全身にまとった作家さんがいらっしゃるのも事実。良い悪いの話
しじゃなく、それがご本人や作品から溢れ出たものなのか、取っ
て付けたものなのかが問題。どうしたって不自然さは時間が経て
ばボロが出る。が、自然体なのにオーラが出まくっている作家さ
んにはもう敵わない。前から歩いてこられたら道を譲るしかない。
でもそんな人、会社の中とか取引先とかにもたまにいるでしょ?

願わくば、自分を見失うことなく続けてゆきたい。普通であるこ
とを受け入れて、普通に頑張るしかない。だってこれが僕の仕事
なのだから。家族を支えているのだから。何のことはない、木工
作家も普通の職業の中の一つで、僕も至って普通の人間なのです。













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