師走でおわす
2023.12.02 Saturday 06:34
ちょっと油断してたら十一月があっという間に過
ぎ去ってしまって気が付けば師走。いつもの事な
がら早いなあ。40代最後の年末、スピード感に
心と身体が追いつけていないような気がしてなり
ません。年末にかけて参加させて頂いている企画
展の情報などはインスタグラムにてお知らせして
おります。諸々チェックして頂けたら嬉しいです。学校帰り、ただいまを言いに作業場に顔を出すハ
ルコ。部活終わりの空はもう暗いです。機嫌の良
い日は作業場に入ってきてちょこっと話してゆき
ます。そんなご機嫌なある日、作業場の壁を眺め
ながら「こういうのをインスタにあげればいいや
ん」と唐突にアドバイスしてくれました。この家
に越して来てしばらく経ってから始めた展示会の
DMやフライヤーのコラージュ。見たところ一番
古いのは2014年だから越してきて3年目くら
いから思い立って始めた模様。頻繁に人が訪ねて
来る作業場でもないので極々個人的な備忘録みた
いな感じで始めたもの。だからこのコラージュを
人に見せるという発想そのものが無かったので素
直になるほどと納得してしまいます。何やらハル
コさん、僕らのインスタの登録者数を増やそうと
目論んでくれている模様。ぶっちゃけ中学生女子
の感性からすると僕らのインスタは「見てられな
い」のかも知れません(笑)。老いたという自覚
はまだありませんが、素直に子に従ってみようと
は思います。新たなディレクターを迎え、早速技
術さん(カンタ)に撮影を発注。テスト前でもこ
ういう時は素早く動いてくれます(笑)。若い感
性を取り込んで、我々のインスタグラムに新たな
風が吹き込んで来るようならこんなにありがたい
ことはありません。家族のそれぞれが家業のため
に得意な分野で関わりを持つ。おかげで僕は世の
中の流行りやトレンドに流されることなく、正直
なものづくりが続けられている。有難い日々です。
醍醐味
2023.10.11 Wednesday 06:26
特注や別注については前々回に少し書きましたが。おおよそ一年
前、ビーバーブレッドさんから丸彫り皿の特注依頼を受け納品さ
せていただいた後、定番商品としてもラインナップするようにな
りました。こういう少しフチが立っている四角じゃないお皿のイ
メージは実は以前から頭の中にあって、単純に日々にものづくり
に追われてそこまで追い付けていなかったという自覚があります。小物で言うと楕円豆皿なんかはその「取っ掛かり」としてチャレ
ンジしたもの。ただ正直その後の展開にまでは至れていなかった。
そんな個人的な事情を踏まえると、ビーバーブレッドさんからの
特注依頼によって僕は背中を強く押してもらった、というふうに
考えられなくもない。この上ない絶妙なタイミングでもって。大きい方のお皿(上)は直径38cmという大物。小ぶりな方(中
・下)は直径27cm。前回紹介したバゲットスタンドも直径38c
mだったので先ずは材料の確保へとお世話になっている佐々木材
木店さんへ駆け込み、事情を話して幅広材を見せてもらう。運良
く幅があって枚数も揃えられそうな栗材を見つけることができて
一安心。27cmのお皿はウチの在庫分のオニグルミからチョイス。今回のお皿のオーダーについてはサイズだけでなく「前回よりも
細かい彫りで」というものと「前回よりも白っぽい木で」という
ご要望がありました。なので刃物は幅の狭いものをチョイス。細
かな彫りで木目がより一層際立っている気がします。色味につい
ては正直むずかしかったです。白っぽい色と聞いて僕が真っ先に
思い出すのはメープル、あるいはイタヤカエデなのですが、メー
プルは北米産なので例のウッドショックの影響で入ってこないし、
イタヤカエデは国産材なのですがそもそもそんな幅のある材が日
常的にある訳でもなく。実際のところ、直径38cmが取れる材な
んて選択肢がある訳でもなく、栗が見つかって良かった!と心か
らホッとしたくらい。結果並べてみるとオニグルミよりは少しだ
け白っぽく見えたから良かったことにします(笑)。もちろん材
料選びに関しても都度連絡をとって了解を得てからの選定。相手
が自然のものなので何でもかんでも思い通りにはいかないのも自
然なことです。そして久しぶりに構った栗の木は自分の記憶の中
のそれよりもとても優しい感触でした。これも新たな発見です。
印象の変化は自身の進化の現れだと前向きに捉えたい。別注や特
注はこれだからやめられない。自分が木工を選んだ理由について、
ぼんやりとですが分かってきたような気もしています。扉を開く
感覚、壁を越える感覚。そこに他人の評価やスピードなんて関係
なくて、一人の人間としての確かな歩みみたいな。醍醐味ですね。
20年
2023.09.16 Saturday 06:06
私事ながら、今年の5月に嫁さんと一緒になって20年の節目を迎
えることができました。そしてそれは同時に、父が亡くなって20
年経ったということでもあります。2003年の5月に平安神宮で式
を挙げた僕たち。7月に父が倒れたと連絡を受け、9月の半ばには
亡くなってしまったのでした。救急車で搬送された近くの病院か
らすぐ府立医大病院に移り、早々に余命宣告を受けます。当時の
僕はまだサラリーマンで香川県高松市に住んでいたのですが、毎
週末(金曜の夜から)高速を飛ばしたりフェリーを利用したりし
て嫁さんと一緒に帰省し、時には嫁さんが京都に残って両親のケ
アをしてくれたり、今思えばなかなかハードな新婚生活でした。
ETCすら無かった時代。金券ショップで50000円のハイウェイカ
ードを買ってひたすら往復する日々。明石大橋と鳴門大橋が料金
高くて辛かった。ほんの2ヶ月ほどの間でしたが、後悔を残さな
いためにも会いに通いました。顔を見せに行きました。別に何の
奇跡も起きなかったけれど、後悔がないのはあの時できる限りの
ことをやらせてもらえたからだと信じています。孫の顔を見せて
あげられなかったのが唯一の後悔といえば後悔なのですが、きっ
とどうにかして孫たちのことを見守ってくれていることでしょう。祥月命日の日、ビールのロング缶を2本とちょっとしたおつまみを
供えました。ちなみにウチにはお仏壇がありません。理由は京都
の実家に祖父母から受け継いだお仏壇がちゃんとあるのと、お墓
やお仏壇を新しく構えるのはどうにも現世を生きるものの自己満
足のような気が若い頃からしていて、それならば昔からあるもの
を大切に手入れして受け継いてゆく方に力を注ぎたい、などと考
えてしまうからです。勿論、それぞれの理由やタイミングがある
のは間違いないでしょうし、新しくされることを否定するつもり
もありません。あくまで僕の場合、僕が思うところのお話しです。
なのでウチでは台所のテーブルのお誕生席に、毎朝お茶とお水を
お供えしています。新しいお仏壇を拵えることより毎日手を合わ
せること、お茶とお水を供えること、季節のものを思い出した時
でいいからお供えすること。僕にとってはそっちの方が大切です。
お盆に帰省したとき、いつも実家に寄る前に墓参りを済ませるの
ですが、荒れたお墓が増えていてとても残念な気持ちになります。
お墓そのものは新しそうなのに敷地内に雑草が生い茂り供花もな
く、一目で誰も参っていないんだろうなと感じさせるお墓。建墓
はお金もかかるしとても立派な行いだとは思うけれど、そこに当
たり前のことのようにお参りする子や孫を育てるということも、
同じくらい立派なことなのではなかろうか、などと考えています。
あっという間の20年に絡めて色々と書き綴ってしまいましたが、
無責任な次男坊の放言です。広い心で受け流してくださいね(笑)
saviさんにて
2023.03.23 Thursday 05:58
ものすごく久しぶりな気がします。滋賀県野洲市のsavi no niwa
さんでの三人展、明日より始まります。saviさんとのお付き合いは
岡山に越してきて早々からだったと記憶しています。だから多分10
年オーバー。ありがたいことです。これといった変化のない僕のも
のづくりに長い間関わってくださっていること自体、高松のblueさ
んもそうですが、本当にありがたいことなのです。願わくばこのま
ま時代が何周かしても、ところどころでチャネルが合って、また声
を掛けてみようかと思ってもらえるような、そんなつくり手の一人
でいられたらと願っています。いい意味で風まかせ。風に吹かれて。
「春景」 加賀雅之×さこうゆうこ×関口憲孝
2023年3月24日(金)〜4月2日(日) 11:00-17:00
3/28(火)、29(水)休み
savi no niwa 滋賀県野洲市高木194-33
毎回言ってるような気もするんですが、野洲といえば来来亭とセク
シーフットボール。乾貴士ですね。何というか世代です。今となっ
てはいろんなところで(もちろん岡山でも)来来亭のラーメンは食
べられますが、最初のお店は野洲で開店されたはず。聖地ってやつ
ですね。saviさんにお越しの際は野洲本店に立ち寄られるのも良い
かも。イヤイヤ来来亭はさて置き、savi no niwaさんでの三人展、
是非ともお運びください。よろしくお願いいたします。