菓子切り
たまにしかつくらないものをつくる時、少しだけ緊張する。図面
やサンプルや型(ゲージ)、治具などをながめ、暫し手順と感覚
を取り戻す作業に耽る。だいたいつくり始めると色々思い出した
りして、後は勝手に手が動いてくれる。でも時にはそんなタイミ
ングで「これ、こうした方が早いしキレイに加工できるやん」て
な具合に、新しい加工方法や工程の手直し、治具の修正に繋がる
ことがある。つまり、その時点ではまだ「完成」し切っていない
ということ。これを何度か繰り返してようやく、「定番」になる。この菓子切りも久しぶりにつくりました。まさに「つくりながら
思い出す」パターン。今回は12本を納める。加工の8割がフリ
ーハンドなのでサンプルを軸に、カタチを揃えることに注意する。加工方法を改めることはありませんでしたが(ほぼ「完成」して
いる、ということ)、なかなか肩が凝る仕事。でもキライじゃな
いです。こうやって並べて見ると、何だか僕らしいような気がし
ないでもない(笑)。この流れでご要望が多いカトラリーの世界
にも再び足を踏み入れてみようかな、という気分にもならなくも
ない。「やるなら余裕がある時だよね」ともう一人の僕。ヤル気
スイッチを探しつつ、でもその前に今日は冬用タイヤに交換です。











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試作楽しや
来春の展示に向け、ゴソゴソと試作を始めております。思えばこ
こ数年、じっくりと試作に向き合う時間はほとんどありませんで
した。同じものを同じようにつくることに抵抗は無い方なのです
が、不意にやってくる閃きやアイデアをカタチにできないフラス
トレーションが無かったと言えば嘘になる。つくり手あるあるか
も知れませんが、ものをつくりながら、手を動かしながら、その
対象物とはまるで違うモノのことを考えていたりする。「あれを
こうやったら面白いんじゃないか」、「あれをこう使えばこんな
加工が出来るんじゃないか」、「あの刃物を使えばいい感じにな
るんじゃないか」等々…。そうやってストックしてきたアイデア
やイメージをやっとカタチにできる。一番面白い時かも知れない。
色々とつくってみて、どれが定番に昇格するかは分からないけれ
ど、取り敢えずはカタチにしてみる。そしてしばらくは手元に置
いて実際に使ってみる。そこから得られる情報を加味して、最終
的に判断する。ヤバい。楽しい。売るあても無く、売れる確証も
ないままものづくりに深く没頭していた飛騨時代を思い出し、苦
笑する。色々と変わったようで、意外と何にも変わっていないの
かも知れないと思い、作業場で一人声を出して笑ってしまった。

試作は楽しい。












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cms(コージーメジャースプーン)のこと
コーヒーメジャースプーン。略してcms。定番として長くつくり
続けているモノの一つです。今また世の中的にコーヒーブームは
来ているのでしょうか?それとも一つのカルチャーとして完全に
暮らしに溶け込んだのでしょうか?美作の古家の低〜いアンテナ
では、世の中の流れが上手く拾えないのが歯痒い今日この頃です。この家に越して来て以来、コーヒー豆は生で大量に買い込み、台
所のコンロで「銀杏煎り」なる道具を使って自家焙煎しています。
オシャレでも拘りでもなく、単純に安上がりだから。でも普段か
らこうやってカジュアルにコーヒーを飲んでいると、本当に美味
しいコーヒーに出会った時の感動がより一層深まります。プロの
仕事に、改めて感銘を受けることも出来るのです。尤も、外でコ
ーヒーを楽しむ機会そのものが極端に少ないのが現実なのですが。

長くつくり続けていると、工程だけでなく、気をつけなければな
らないポイントなんかも手が覚えてくる。逆に言うと、それだけ
の失敗の積み重ねがあったということなんだとも思う。感慨深い。

出来上がったスプーンで豆を掬って計ってみたらちゃんと10gだ
ったので思わず「おおっ!」って叫んだら嫁さんに鼻で笑われて
しまった。そこは「スゴーい!」とかでも良い気がするけれど、
世の中そんなには甘くないってことなのね。悔し紛れに写真を撮
る。とても気に入っているカタチなので写真を撮るのも楽しい。
相変わらず、とても難しいけれど。でも必要以上に「良く」見え
なくてもいいと思うようになってきた。写真の上手い下手は抜き
にして、愛情を持ってつくっている様が伝わればと、心から願う。










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幸せ
秋が深まりつつあります。僕達の住む地域にも紅葉の波が緩やか
に押し寄せています。画像はハルコと一緒に近所のダム周辺をの
んびりサイクリングした様子。アップダウンの激し過ぎる我家周
辺。小1の脚ではなかなか自転車で走り回ることが難しく、家の
前の敷地内をグルグル回るしかない彼女。軽バンに自転車積んで
ってダムの外周を走るのが定番になりつつあります。カンタは参
加したり参加できなかったり。小5にもなると色々忙しいのです。少し前(飛騨旅の前)のことですが、車の走行距離が見事なゾロ
目に。助手席に座るカンタが撮影してくれました。どうってこと
ないことなのですが、車内は一時騒然となり無駄に大盛り上がり。
なるべく小さな幸せと、なるべく小さな不幸せ、なるべくいっぱ
い集めよう、そんな気持ち分かるでしょう。(TBH/情熱の薔薇)
最近YouTubeでTBHのライブ映像をよく見ます。やっぱいいな。











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居場所
台風の接近を告げるネットニュースを後目に、先週末の早朝、子
ども達が生まれた町で僕たちの木工人生の始まりの場所でもある
飛騨高山に向け出発した。実に6年振りのこと。カンタの記憶は
曖昧に薄れ、ハルコには記憶そのものが無い。生まれた場所を見
せてあげたい。何度も話した飛騨高山に、ようやく連れて行って
あげることができた。折しも「工房めぐり」というイベントの真
っ最中。会いたい人に会いに、訪ねたい場所に遠慮なく行くこと
ができる。一泊二日の限られた時間の中、ましてや台風の進路を
気にしながらのヒヤヒヤ旅だったけれど、会いたい人に会え、訪
ねたい場所にきちんと訪ねられた良い旅でした。町は変わったよ
うでいてそれほど変わってもおらず、子ども達がお宮参りさせて
もらった神社にお参りし、散々通ったスーパーで買い物をすると、
まるでまだここに住んでいるかのような錯覚に陥るから不思議だ。
でも当然のことながら、僕たちの居場所はもうここにはない。言
うなればここは、僕たち家族を乗せた転車台(車両の方向を変え
るための機械)みたいな場所だった。どの路線に向かうかを決め
る、極めて重要な場所。その感覚だけは、当時から痛いほどあっ
た。今僕が走っている路線がベスト(或はベター)なものなのか、
ぼんやりとではあるけれど、確信を抱けるまでに実に6年も掛か
ってしまった。つまりは簡単に立ち戻れない場所だったのも事実。
でもこうして家族揃って、笑いながら飛騨に来れたことが一つの
答えなのかな、とも思う。そして今回の旅でまた次回、飛騨を訪
れる理由が新たに生まれた。これもまた、楽しみでしようがない。
何年後に行けるか分からないけれど、日々の励みになることは間
違いない。友達は少ない方だと自負しているけれど、会って話せ
て勇気づけてくれる人が500キロ先にいる。僕はここで頑張ろ
うと思う。僕たちの居場所は、ここにある。











たび旅 comments(0) trackbacks(0)
台風一過2017
9月の台風18号に続いてまた大きな台風がやって来ました。被
害に遭われた方々が一日でも早く日常生活に戻られますことを願
っています。我家では週末の子どもの予定が雨でキャンセルとな
り、日曜の午後は家で雨漏りの滴の音を聞きながら過ごしました。
夜の間のビュービューと吹き付ける強い風に驚きながら、何とか
21号をやり過ごした翌朝、早々に美作市全域で小中学校の休校
が決まったとの知らせ。キャーキャー喜ぶ子ども達とブーイング
鳴り止まぬ親ども。エネルギーを持て余すヤツらをどうしようか。
表に出ると風に飛ばされた葉っぱや木の枝がそこら中に散乱して
いるけれど、道路の崩落や大きな倒木被害などはなさそう。一息
ついて作業場の裏に回って見ると裏の桐の木の枝が派手に折れて
いる。一枚目の画像の右側が作業場ね。知らん顔はできないし…。
で、子ども達出動!カンタが折れた木を手鋸で刻み、ハルコが焼
却炉まで運ぶ。意外とノリノリな2人。軍手に長靴で地域にとけ
込むスタイルがイケてます(笑)。「慌てなくていいから、休憩
しながらゆっくりやってや」と僕。ゆっくりとやってください!
分かりますかね?折れた二ヶ所。まあまあ太いトコが折れてます。
去年からカブスカウトを始めて、野外活動に自信を持ち始めたカ
ンタ。住んでいる環境や家業の手前、町の子よりは色々な道具に
触れる機会は多い方だと思います。なんか様になってるなんて言
うと、ただの親バカなのでしょうか(笑)。でも良い。悪くない。

あれだけ「ゆっくりやって!」と言ったのに午前中には作業を終
えてしまった2人。後は僕がボチボチ燃やします。折れた木が柔
らかくて軽い桐の木だったとは言え、随分仕事が早くなったもん
です。適度な運動と疲労によるガス抜きのお陰で、午後の2人は
いつもよりケンカも少なめで穏やかな一日を過ごすことができた
よう。昼寝もしなくなったし、目に見えない部分も成長している
ようです。雨漏りの音を聞いて眠った翌朝、強風で折れたデカい
木の枝を切り刻んで燃やした。そんな日常が、実はとても特別な
ことだったのだと気付く日がいつかやってくる。いい一日です。












徒然・・・ comments(0) trackbacks(0)
計算してみる
ここ最近、4月のゆくりさんでの個展でご注文頂いた彫り盆をコ
ツコツ彫っていました。ようやくすべての工程が終了し、発送の
段取りへと移りつつあります。画像は一回目のオイル塗装の風景。
木地がグッとオイルを吸い込み、木目がより鮮明に現れる瞬間は
制作の最終局面、いわばハイライトです。ワークショップとかだ
と一番の盛り上がりを見せる場面なのですが、嫁さんにとっては
まるで流れ作業のように手際よく、愛情を持って進んでゆきます。つい魔が差したというか…よせば良いのに計算してしまいました。
このお盆の彫りを直線距離で計算したらどれくらいの長さを彫っ
ているんだろう…。ふとよぎった素朴な疑問から目を逸らせずに。

お盆のサイズは縦28cm、横36cm。
1本の彫りの長さが25.5cmで、それが37本

25.5 × 37 = 943.5(cm)= 9m43cm5mm

9メーター超えか!平均的なマンションの4階の高さに相当する
そうです。3ナンバーの乗用車2台分の長さ(縦列駐車でね)く
らいですって。ハハ!やっぱり計算するんじゃなかったよ(笑)。
週明けにはゆくりさんに向け発送予定です。お待ち頂いている皆
様、今暫くお待ちください。こう見えて、楽しんでいるんですよ。











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秋の空
油断しているとあっという間に月日が経ってしまう。10月も早
10日になってしまいました。ブログの更新も滞り勝ちですが、
細々と続けて行こうと思います。世の中の情報発信ツールの主流
はもはやブログではないのでしょうが、個人的にはこの方が性に
合っているというか、自分のペースでやっていけるところが気に
入っています。そもそも他に何にもやってないですしね(苦笑)。
吉祥寺のスヴェイルファニチャーさんでのweb展並びに徳島のn
agayaさんでの三人展、いずれも無地終了致しました。お運び頂
いた皆様、お買い求め頂いた皆様、そして両店のスタッフの皆様
には本当にありがとうございました。厚く御礼申し上げます。

売り方、或は見せ方、切り取り方みたいなものが多様になってき
た感のある今日この頃。モノが持つ質やチカラよりも、雰囲気や
ストーリー性の方が重宝がられる風潮はより顕著になってきてい
るように感じます。以前から存在した風潮ではあるのですが、我
々の場合で言うところの作品・製品の方が蔑ろになってしまうと
すれば、いささか寂しい気もするのです。一過性のものだと良い
のですが…。例え世の中の本流がそうなったとしても、僕は相も
変わらず本流から少し外れたところをゆらゆら漂っていたい。急
な流れに飲み込まれることなく、かといって一所に停まることも
なく。自分の居心地の良い場所を見つけて、それが例え楽な場所
じゃなかったとしても、居心地の良さを優先したい。考え方のベ
ースというか、僕自身がそもそもズレているのかも知れませんが
(笑)。元より時代に合わせられるような器用さは持ち合わせて
いません。いつか時代の方が近づいてきてくれるのを心待ちにし
つつ、日々生きて行こうと思います。良く晴れた秋空の下、思う。












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話す
先日、この家に越してきて以来とても良くしてもらっていた大先
輩が亡くなったと聞いた。しょっちゅう顔を合わす間柄でもない
のだけれど、たまに会えば子ども達(特にカンタ)も含め、良く
してもらっていた。「お線香だけでも上げさせてください」とお
願いしてみたけれど、「家族だけで済ませたから」と仰られる。
学校から帰ってきたカンタに訃報を告げる。晩ご飯を食べながら
懐かしい思い出話しに花を咲かす。ほんの数年前の話しなのだけ
れど、カンタは幼児から少年へと成長し、大先輩は次のステージ
へと旅立たれた。「いっつもお菓子くれたな」、「カンタのこと
坊ちゃんって呼んでくれてた(笑)」「桃の缶詰もらったことあ
る!」。畑の畦に大先輩とカンタが並んで座っていた頃のことを
思い出し、たくさん話してたくさん笑った。僕たちなりの供養だ。
上手く纏めることなんて出来ないけれど、子ども達は素直に受け
入れられたように見える。墓参りも良いけれど、故人のことを笑
いながら話すのも良いものだと思う。僕の父親の話しや、嫁さん
のお祖母さんの話しなんかもたまにはしなきゃならないなと思う。

寂しさはあるのだけれど清々しさもある、少し冷えた秋の朝です。












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メインテナンス
今夜からスヴェイルファニチャーさんでのweb展が、明日からは
徳島のnagayaさんでの三人展がそれぞれ始まります。たくさん
つくってたくさん(嫁さんが)発送して、暫し放心状態。ちょっ
とした腑抜けになってます、ハイ。ぶわーっと痺れたようなアタ
マと身体では怪我のリスクが高くなる。こんな時は酷使した機械
のメインテナンス。手押しと自動の刃物を研いで微調整するぞい。
こちらは夏の初めに譲ってもらった研磨機。サビッサビですが僕
のところへ来る直前までも現役バリバリで働いていた代物。僕の
機械選びでは重要なポイントです。妙に小綺麗な中古機械より、
ついこないだまで動いていた中古機械の方が頼りになる気がする
のです。新品に手が出せるほどの余裕は全く以てないですしね。角度を変えて仕上げ磨きの真っ最中!の画像。サビ防止のクーラ
ント入りの水を循環させ、焼き戻りを防ぎながらの仕上研磨です。手押しの刃物交換は楽チンです。直後の削り肌は艶っつやでテン
ションが上がります。でも自動(鉋盤)の調整は色々と厄介です。
写真撮る余裕もなく黙々と微調整です(笑)。夕方には何とか納
得のゆくレベルにまで持って行くことができ一安心。気になって
いた点も幾つか改善されました。刃物が切れる状態だと音が違い
ます。少し静かになって、何だか良い音になったように聞こえる
から不思議です。自己満足全開の世界。作業場に笑顔が溢れます。
僕しかいませんが…。さあ、今日からまた仕事です。つくろう!
 










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